つがいの鳩

2023年02月04日

おととい

駅の近くの緑地に行ったら、

木々のあいだに

埋もれるようにして、

ちらほらと梅の花が咲いていた。

密やかなその姿が

わたしを魅了し

今日ふたたびカメラを持って出かけていった。

良い天気、気持ちのいい一日、

住宅街を進んでいく、

坂を上がって

ちょっと下りると脇道があって

一羽のふっくらしたキジバトがその道のうえを行き来していた。

わたしは思わず歩みをとめ

カメラをとりだす。

おっとりとした足どりであちらに行ったとおもうと、またこちらに行き、

脇道の奥へと、そこには

もう一羽のキジバトがいて、どうやらつがいらしいとわかった。

二羽の鳩は

歩み寄って距離をちぢめたかとおもうと、べつべつの方向へ行って離れたりして、

くつろいだその様子がなんとも微笑ましくて仕方ない。

しばらくうろうろしていたが、

やがて一羽が飛びあがって民家の垣根にとまった。

どうするのかとカメラを向けつつその高みにとまった鳩を見ていたら、

その家の敷地内の小さな庭へとおりていき

姿をけした。

もう一羽はと目を向けると、

鳴き交わしているわけでもないのに、お互いの動きが手にとるようにわかるのだろうか、

同じように垣根にとまってから、姿をけしていった。

わたしは庭に降りたったあとの二羽の

幸せそうな様子を目のあたりにするかのように浮かべながら

脇道をあとにした。

画面上では二羽のあいだには意外と距離がある。

寄り添っているように目には映るが、

写真にしてみるとなかなか、ぴったりくっついている写真は撮れない。

でも、つかず離れず、

カップルとはそうしたものかもしれない。

ちょっと嫌いだなとおもったら、

ちょっと離れて、

また愛しさがこみあげてきたころ距離をちぢめて、

ときには二羽でくちづけを交わしあって。

わたしたちもあんなふうだといい、平和な関係、争いとは無縁な。

良い情景に出会った、さあ、ここからもうひと歩きして駅のそばの緑地まで梅を見に行こう。

密やかに清らかに咲くあの白い花を。