ヒヨドリの声

2022年01月28日

何となく自暴自棄になっていたら、

庭でヒヨドリが鳴いた。

するどい声で、張り詰めた生命力をたたえて。

わたしは和室でこたつに入り、

体を休めるため、横になりながらその声を、

しばらくのあいだ思い起こしていた。

けれど、ついに昼間だというのに薬を飲んでしまった。

薬を飲めば眠くなると知りながら、わざとオーバードーズした。

そして激しめの曲を聴きながら

眠りがわたしを誘うのをただひたすら待った。

目が覚めたのは

夕方の五時過ぎだった、

わたしはそれからも激しめの曲を断続的に聴きながら、

てきとうなもので夕食をとり、

でも、レトルトのスパゲッティ・ナポリタンは美味しかった、

それからデザートにとっておきの凍らせた南国の果物を。

自分を甘やかすために。

食後の薬を飲み、風呂に入って髪を二度洗いし、さきほど聴いた洋楽の曲を

歌詞を見ながらうたって、眠った。

起きたのは朝の八時過ぎだった、シリアルで朝食をすませ、

雑事をこなし、広告メールを処理すると、

出かける支度をする。

濃いブルーの服に身をつつみ、朱のワンポイントの入った焦げ茶のコートを羽織る、

いつもの黒いリュックサックを背負ってみたが合わない、

財布と携帯だけを紺のショルダーバッグに入れ、それを持って家を出る。

大通りにクルマは少なく朝の空気はやさしい。

街路樹に沿ってあるいていくと行きつけの洋菓子店がある。

そこでクッキーを買う、

プレーンの味のと紅茶の味のとを七つずつ。

帰って、淹れてあったコーヒーを

お気に入りのマグカップに注ぎ電子レンジであたためる、

そして買ってきたクッキーを。

朝のひとときに気持ちがしだいにほぐれてくる。

熱いコーヒーを飲みながら、わたしは思う、

彼らの思い通りにはならない、負けるものか、と、こころに誓いを立てる。

何度もくじけそうになり、そのたび、這い上がってきた、

わたしを利用しようとする者たちの思い通りになってたまるか、と、吐き捨てる。

コーヒーを、もうひとくち飲む。

さきほどからヒヨドリが鳴いている、まるでわたしを勇気づけるかのように、きつい声で。