和菓子

2023年01月17日

落ち込むだけ落ち込んで、

寝て、

目が覚めたときには

だいぶマシな気分になっていた。

バスオイルを入れて芳香につつまれながら

風呂に入ると気分も上がり

出かける気分。

素人でほんとうに恥ずかしいけれども

お抹茶を点てたい。

お茶菓子を買いにいこう。

一駅だけでも

電車に乗るとなんだかわくわくする。

座席にすわりドアが閉まり

列車が動き出すときのあの期待はなんだろう。

和菓子屋さんにまだ若い店員さん、

きっと修行中の職人さんだ。

こんにちは、と挨拶して、師匠がつくったらしい品を買い求めようかと

一瞬おもうが、

思い直し、職人さんにどれをつくられたんですか、

とたずねてみる、すると、

雪笹という

ちょっと焦げ茶色で地味だけれども、白い雪をかぶっていてどことなく品のある

そんな品を示してくれたので、それを寒梅とともに買い求める。

帰りはバスだ、これがまた楽しい。

駅で始発の車両を待っていると、後ろに並んだ男の子たちが

流行っているラーメン屋の話なんかをしている。

その朗らかさに

こちらの気分もわけもなく浮き立ってくる。

バスを降りるとスーパーに寄り、お昼を買って帰ったが、

けっきょく

今日はお茶会はしなかった。

お昼をお腹いっぱい食べてしまったので明日にすることにした。

じぶんの部屋で

音楽を聴いている。

液晶の画面をたぐりながら、つぎはどの曲にしようか、考えつつなんとなく

明るい気分になっていたので自然と明るめの選曲になる。

あ、つぎ、これがいい。

と、曲を決めてそのタイトルにタッチしようとしたそのとき

こみあげてくる期待が舌の先に甘い味を描き

その味を

ずっと残しておきたくて

曲名にタッチされないまま時は過ぎ液晶は節電すべく暗くなった。

明日、聴こう。

明日、買ってきた和菓子で母とお茶会をして

そうしてお気に入りの曲を、もし忘れなかったら列車の走り出すときのような期待とともに

胸おどらせて聴こう。

いちばん好きな品を食事のさいごまで取っておいて食べる、そんな感じで。