季節の変わり目

2023年11月14日

洗濯物のあいだに

半袖と長袖がまじっている。

いまは

すっかり長袖で

それに、ときおりコートを羽織る。

どうにか母といっしょに

お正月を過ごせそうなことに安堵して

今日もお見舞いに。

駅で用事を済ませてから

そのまま

停留所からバスに乗る。

いつもと違う風景がたのしい。

バスは住宅街のあいだをすすんでいって、

市のはずれの終点まで。

そこで降りると、もう病院はすぐそこにある。

三十分も早く来てしまった。

病院のそばを小川が流れていて

わたしは小川とそこにいる生き物たちが

この病院のチャームポイントだとおもっている。

病院へとつづく橋のうえ、

欄干にひじをついてもたれかかり

下を眺めれば

いっぴきの亀が甲羅干しをしている。

よく見るとそこは日陰だった。

せっかくだから日向で甲羅干しすればいいのに、とも思ったが、

日陰でも甲羅をつよくする効果があるのだと

どこかで読んだ気がする。

亀さん、うちのカメノちゃんも、もうすぐ冬眠だよ。

こころのなかで話しかけ欄干にもたれ

そうして時を過ごす。

時を、行きずりの亀と分かち合う。

そうしているうちに十五分の時が流れ、わたしは建物へ向かった。

けやきの木が

眩しい色をたたえはじめていた。

何でもない話をして、

病院から帰るとき、

母は歩行器でもってエレベーターのところまでお見送りに来てくれた。

わたしはまた来るといって別れた。

家に着くともう夕方だった。

ペットボトルの飲み物を片手に、窓辺に立つと、

雲があかね色に染まりつつあった。

盛りだくさんな一日だったな、

駅前のカフェで食べたコーヒーゼリー入りのパフェがとっても美味しかったな。

広場のところで

子どもたちがバドミントンであそんでいたな。

ひとつの携帯をふたりで覗きこむ

女子高生たちが何だか良い感じだったな。

向かいの家の屋根が

夕暮れは紫がかった朱の色にうつくしく染まっていた。

明日も、そのつぎも、わたしたちの日々が平穏なものだといい、

と、身勝手なことを切に願う。