紅梅

2022年01月25日

洗濯機から服やバスタオルを出し

カゴに入れてベランダに持っていく、

長袖の服をハンガーにかけ、

くつ下と下着などをピンチハンガーで止め、

バスタオルをじかに物干し竿にかけ洗濯バサミで止める。

終わると、からになったカゴをかかえて屋内に入り、

これから何をしようかと考える。

さっき取ってきた新聞に目を通し、わたしは、

漠然と何か新しい物語が書きたいなあ、などと願ってみる。

そうだ、インスピレーションつかまえに行こう、

マスクをし最低限の荷物だけ持って

家をあとにする。

一軒家の立ち並ぶ住宅街をすすんでいくと、

ひじょうにお世話になっている方によく似たひとが向こうから

こちらに向かってやってくる。

お辞儀をしたけれど、もしかしたら人違いかも。

なんとなく浮かれた気分。

アイディアつかまえにいくのって、楽しい。

ゆうべ聴いた音楽を頭のなかで鳴らして思い出したりなんかしながら、

自分じゃない何かになれたらなどと思ってみる、

ひろがる別世界。

遠くへ旅立てたらいい、夢のなかで。

いつしか境内をかすめていた、

わたしはアイディアつかまえるのに夢中で

お賽銭を持っていなかった。

いつもお参りしている神社の前で、ただお辞儀だけする。

そのとき咲き初めた紅梅の花が目に入る、

ほかの梅たち、一重の白梅やピンクの梅たちに先駆けて、入り口近くの一本の木が

濃い色の花をつけていた。

やがてひろがる梅の園を夢見つつ、そこを後にした。